2024年の最新CPU市場で注目を集める インテル® Core™ Ultra プロセッサー (シリーズ2)。このシリーズは、インテルの最先端技術を搭載し、ゲーミング、クリエイティブ作業、ビジネス利用など、幅広い用途に対応する高性能CPUとして登場しました。また、NPU(Neural Processing Unit)は、AIや機械学習タスクを高速かつ効率的に処理するを搭載しており、AI処理も大幅に強化されています。
11月に入りインテル® Core™ Ultra プロセッサー (シリーズ2)を搭載したゲーミングPCが売り出されたこともあり、その特徴や性能Coreiとの違いを解説します。
1. インテル® Core™ Ultra プロセッサー (シリーズ2) の特徴
1-1. 次世代アーキテクチャ「Meteor Lake」
Core Ultra シリーズ2は、インテルの最新アーキテクチャ「Meteor Lake」を採用。これにより、以下のような革新的な技術が搭載されています:
- チップレット設計: 性能コア(Pコア)と効率コア(Eコア)が物理的に分離されたモジュール設計で、タスクの処理効率を最大化。
- AIアクセラレーション機能: 新たに専用AIプロセッサ「VPU」を内蔵。画像編集や機械学習ワークロードにおいて大幅なパフォーマンス向上を実現。
- Intel 4プロセス: 7nmプロセスノードを改良した次世代プロセスで、より高密度・低消費電力を実現。
1-2. 内蔵GPUの進化
内蔵GPUとして、次世代グラフィック技術「Intel Arc GPU」が統合されています。これにより、4Kゲーミングや動画編集などGPU性能を求められる作業でも、外部GPUに依存せずに快適に動作します。
1-3. Thunderbolt 5対応
データ転送速度が最大80Gbpsに対応。高解像度ディスプレイや高速外部ストレージの接続もスムーズ。
1-4. NPU(Neural Processing Unit)搭載
AIや機械学習をPC内で処理するために重要であり、次の項目で詳細を説明します。
2.インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)におけるNPUの特徴
NPUとは?
NPU(Neural Processing Unit)は、AIや機械学習タスクを高速かつ効率的に処理するために設計されたハードウェアアクセラレータです。CPUやGPUと異なり、NPUはAI特有の計算(行列演算や推論処理)に最適化されており、大量のデータを並列処理する能力に優れています。
具体的には、以下のような用途に適しています:
- AI推論: リアルタイムでAIモデルの推論を行う。
- 画像・音声認識: 高速な顔認識や音声コマンドの処理。
- 自然言語処理: 文書の要約や翻訳、生成AIの処理。
- 生成AIの支援: Stable DiffusionやChatGPTなどの生成系AIを効率的に動作。
これらの機能は、特にゲーミングやクリエイティブ用途、エンタープライズAIにおいて重要性を増しています。
**Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)**は、インテルの最新AI技術を統合し、NPUを標準搭載することで次のような進化を遂げました。
- 専用AI処理ユニットの統合 NPUは、従来のCPUやGPUと連携して動作し、特にAI推論や軽量学習タスクの実行において劇的な効率向上を実現します。このプロセッサーでは、以下の特性が際立ちます:
- 最大40TOPS(兆回演算/秒)の性能: AIモデルのリアルタイム処理が可能。
- 電力効率の向上: AIタスク専用設計により、通常のCPUコアを利用する場合と比較して消費電力が削減。
- リアルタイムAI推論のサポート Core Ultraシリーズでは、リアルタイムAI推論が求められるタスク(例:ゲーミングでのNPC行動のAI制御や動画のリアルタイム補正)において、NPUの能力を活用します。これにより、高精度な処理が行える一方で、システムリソースの負担を軽減します。
- 内蔵GPUとのシームレスな連携 Intel Arc Graphics(内蔵GPU)とNPUが連携することで、AIの生成処理やリアルタイムレンダリングが効率化されています。例えば、動画編集ソフトでは、NPUを用いてノイズ除去やカラー補正を行いながらGPUで描画を担当する、といった役割分担が可能です。
- セキュリティとプライバシーの強化 Core UltraのNPUは、ローカル環境でのAI処理を重視しており、プライバシーに配慮した設計になっています。データをクラウドに送信せずとも、高度なAI処理が可能です。
用途と活用例
- ゲーミング
- NPCや環境のAI制御でリアルタイムの学習・推論を実行。
- 映像のアップスケーリング(例:低解像度ゲームを4Kでプレイ)。
- クリエイティブ作業
- AIによる画像生成(例:Stable Diffusion)の高速化。
- 動画のリアルタイム編集やエフェクト適用。
- ビジネスアプリケーション
- データ分析の高速化(例:AIを用いた予測モデルのリアルタイム処理)。
- エンタープライズAI向けタスク(例:自然言語処理や文書分類)。
3. Core™ Ultra (シリーズ2) 主なスペック
Core Ultra 9 285K | Core Ultra 7 265K | Core Ultra 5 245K | Core i9-14900K | Core i7-14700K | Core i5-14600K | Ryzen 9 9950X | ||
コア/スレッド | 24/24 | 20/20 | 14/14 | 24/32 | 20/28 | 14/20 | 16/32 | |
動作クロック | P-core | 3.7GHz | 3.9GHz | 4.2GHz | 3.2GHz | 3.4GHz | 3.5GHz | – |
E-core | 3.2GHz | 3.3GHz | 3.6GHz | 2.4GHz | 2.5GHz | 2.6GHz | – | |
基本クロック | – | 4.3GHz | ||||||
TurboBoost | P-core | 5.5GHz | 5.4Hz | 5.2Hz | 5.6Hz | 5.5Hz | 5.3Hz | – |
E-core | 4.6Hz | 4.6Hz | 4.6Hz | 4.4Hz | 4.3Hz | 4.0Hz | – | |
TurboBoost Max3.0 | 5.6Hz | 5.5Hz | – | 5.8Hz | 5.6Hz | – | – | |
Thermal Velocity Boost | 5.7Hz | – | – | 6.0Hz | – | – | – | |
最大ブーストクロック | – | 5.7Hz | ||||||
キャッシュメモリ | L2 | 40MB | 36MB | 26MB | 32MB | 28MB | 20MB | 16MB |
L3 | 36MB | 30MB | 24MB | 36MB | 33MB | 24MB | 64MB | |
メモリ | 対応メモリ | DDR5-6400 | DDR5-5600/DDR4-3200 | DDR5-5600 | ||||
最大容量 | 192GB | 192GB | ||||||
消費電力 | 基本電力 | 125W | – | |||||
最大電力 | 250W | 159W | 253W | 181W | – | |||
TDP | – | 170W | ||||||
内蔵GPU | Intel Graphics(Xe-LPG) | Intel UHD Graphics 770 | Radeon Graphics | |||||
64bitコード | intel64 | AMD64 | ||||||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | SSE4.1/4.2 | |||||
AVX | AVX2 | AVX512 |
出典:パソコン工房
4. 他のCPU AMD Ryzen 9との比較
以下は、Core Ultra 9 285KとRyzen 9 9950Xの性能を比較した表です。
項目 | Core Ultra 9 285K | Ryzen 9 9950X |
---|---|---|
プロセスノード | Intel 4(7nm相当) | TSMC 5nm |
アーキテクチャ | Meteor Lake | Zen 5 |
コア構成 | 8Pコア + 16Eコア(計24コア32スレッド) | 16コア32スレッド |
ベースクロック | 3.2GHz | 3.6GHz |
ターボクロック | 最大5.8GHz | 最大5.4GHz |
キャッシュ | 36MB Smart Cache | 80MB(L3キャッシュ) |
メモリサポート | DDR5-6400、LPDDR5X-7467 | DDR5-6000 |
消費電力(TDP) | 125W(ベース)、最大253W | 120W(ベース)、最大230W |
内蔵GPU | Intel Arc Graphics(Xeアーキテクチャ) | 非搭載 |
AI機能 | NPU搭載、AIタスクに最適化 | AI専用アクセラレーション機能なし |
PCIeサポート | PCIe 5.0(最大20レーン) | PCIe 5.0(最大24レーン) |
製造プロセス | インテル独自のIntel 4プロセス | TSMC 5nm |
ベンチマーク | – Cinebench R23: 約45,000マルチコアスコア | – Cinebench R23: 約48,000マルチコアスコア |
価格(参考値) | 約95,000円 | 約105,000円 |
比較ポイント
- コア構成とAI処理:
Core Ultra 9 285KはEコアを採用しつつ、NPU(Neural Processing Unit)を搭載しており、AIタスクや生成系アプリケーションで優れた性能を発揮します。一方、Ryzen 9 9950Xはシンプルな16コア設計で、一般的なマルチタスクやゲーミングに最適です。 - 性能と消費電力:
Core Ultra 9 285Kはピーク時の消費電力がやや高いものの、通常使用時はより効率的です。Ryzen 9 9950XはベースTDPが低く、省電力面で優れています。 - 内蔵GPUの有無:
Core Ultra 9 285Kは、Intel Arc Graphicsを内蔵し、軽いグラフィック作業やAI処理に対応可能。一方、Ryzen 9 9950Xには内蔵GPUがないため、別途グラフィックカードが必須です。
5. インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)を搭載したゲーミングPCの特徴とCore iシリーズとの比較
特徴と進化ポイント
インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)は、ゲーミングPCの性能を飛躍的に向上させる新世代のCPUです。その最大の特徴は、AI処理能力を強化したNPU(ニューラルネットワーク処理ユニット)の搭載で、特に生成系AIやリアルタイムアシスタントを効率的に動作させる点が際立ちます。また、省電力性能が向上し、内蔵GPUの性能も改善されているため、カジュアルなゲームや動画編集が快適に行えます。
Core iシリーズとの違い
Core iシリーズと比較すると、Core™ Ultraは以下の点で差別化されています:
- AIアクセラレーション: NPUの搭載によりAIアプリケーションの処理が高速化。これにより、ビデオゲーム内でのAIアシスタントの操作や複雑な物理演算が効率化されます。
- GPU性能の向上: Arc Graphicsベースの内蔵GPUが従来のCore iシリーズを凌駕し、特にメモリの割り当てが柔軟でAI処理に適しています。
- 省電力設計: モバイル向けに最適化されたTDP(熱設計電力)で、パフォーマンスとバッテリー効率のバランスを実現しています。
ゲーミングPCでの利点
Core Ultraを搭載したゲーミングPCは、以下の特性により他のCPU搭載モデルと一線を画しています:
- リアルタイムAIの活用: 高度なAI処理により、ゲーム体験のパーソナライズや生成コンテンツの品質向上が可能。
- マルチタスク性能: 最大40TOPSのNPU性能により、ゲームプレイ中のストリーミングや背景でのAI処理をスムーズに実行。
- 冷却性と静音性: 省電力設計が熱生成を抑え、静かな動作環境を提供します。
適したユーザー層
- ゲーマー: AAAタイトルを高解像度でプレイする際も、Core Ultra搭載PCは十分な性能を発揮します。
- クリエイター: 動画編集やグラフィックデザイン、生成系AIを活用するワークフローに最適。
- モバイルユーザー: 長時間のバッテリー持続時間が必要な人にも適しています。
Core UltraシリーズとCore iシリーズの選び方
- 高性能を重視: Core Ultraは最新技術を採用しており、将来のAI対応を見据えるなら最適。
- コストパフォーマンス重視: Core iシリーズは現時点での価格とパフォーマンスのバランスに優れるため、AI機能を必要としないユーザーにおすすめです。
7.お勧めのCore™ Ultra搭載PC
ゲーミングPC(デスクトップ)
1.ハイエンド水冷モデル
G-Master Hydro Z890
標準構成
- フォームファクタ ATX
- CPU Intel Core Ultra 7 265K
- マザーボード Intel Z890チップセット
- メモリ DDR5-5600 32GB(16GBx2)
- ストレージ 超高速 NVME SSD 1TB
- グラフィック NVIDIA Geforce RTX 4080 SUPER16GB
- OS Windows11 Home(64bit)
- 外形寸法 幅240×奥行き547×高さ475mm
2.ミドルレンジモデル
Radiant VX3600Z890
標準構成
- フォームファクタ Micro ATX
- CPU Intel Core Ultra 5 245K
- マザーボード Intel Z890チップセット
- メモリ DDR5-5600 16GB(8GB×2)
- ストレージ SSD 500GB
- グラフィック オンボードVGA
- OS Windows11 Home(64bit)
- 外形寸法 幅195×奥行き450×高さ380mm
3.プレミアムコンパクトモデル
Sycom Premium Line Z890FD-Mini/E2
標準構成
・フォームファクタ Mini-ITX(Intel Z890チップセット搭載)
・CPU Intel Core Ultra 7 265KF[3.9GHz/20コア(Pコア8+Eコア12)/TDP125W]
・CPUクーラー サイコムオリジナルAsetek 624S-M2 + Noctua NF-F12 PWM x2[240mm水冷ユニット]
・マザーボード ASRock Phantom Gaming Z890I Nova WiFi[Intel Z890chipset]
・メモリ 32GB[DDR5-5600 16GB*2枚 Dual Channel]
・HDD/SSD Crucial T500 CT1000T500SSD8[M.2 NVME SSD 1TB]
・光学ドライブ 非搭載。※オプションにて外付けUSB光学ドライブ選択可能
・ビデオカード ASUS DUAL-RTX4060TI-O8G-EVO(NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti)
・サウンド オンボードオーディオ機能内蔵
・LAN オンボード/WiFi標準搭載
・ケース 【シルバー】Fractal Design Era 2 Silver
・電源 Fractal Design SFX-L 650W Gold(FD-PSU-ION-SFX-650G-BK)[650W/80PLUS Gold]
・OS Windows11 Home(64bit)標準
・本体寸法 幅165 x 奥行き366 x 高さ314 mm
・保証期間 標準2年保証 ※オプションにて最長3年までの保証
ゲーミングPC(ノート)
1.ウルトラハイエンドモデル
Predator Helios16 ゲーミング ノート PC Core i9 RTX 4080 WQXGA 240Hz 3ms PH16-71-N93Z48
・OS:Windows 11 Home 64 ビット
・プロセッサー:インテル® Core™ i9-13900HXプロセッサー
・メモリー/ストレージ:標準32GB、DDR5-5600MHz SDRAM、デュアルチャネル対応/1TB SSD
・グラフィックス:NVIDIA® GeForce RTX™ 4080 Laptop GPU
・ディスプレイ:16.0インチ、WQXGA(2560×1600)、IPS、G-SYNC® 対応、240Hz、3ms(オーバードライブ時)、DCI-P3 100%
・USBポート:USB3.2(Type-A)×3、USB3.2(Type-C)×2
・サウンド機能/Webカメラ:DTS:X® Ultra、 Acer TrueHarmony/フルHD Webカメラ(約200万画素)
・無線LAN:IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax準拠(Killer™ Wi-Fi 6E AX1675i)
・有線LAN:1000Base-T/100Base-TX/10Base-T準拠(Killer™ Ethernet E2600)
・寸法・質量/保証:約26.90/24.90(H)×357.78(W)×278.74(D)mm、約2.6kg/メーカー保証1年
2.ハイエンドモデル
Acer Predator Helios Neo 14 ゲーミング ノート PC
・OS:Windows 11 Pro 64 ビット
・プロセッサー:インテル® Core™ Ultra 7 155Hプロセッサー
・メモリー:標準32GB、LPDDR5X-8533MHz SDRAM、デュアルチャネル対応
・ストレージ:512GB SSD
・グラフィックス:NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU
・ディスプレイ:14.5インチ、3K+(3072×1920)、IPS、165Hz、400Nits、非光沢
・USBポート:USB3.2(Type-A)×2、USB3.2(Type-C)×2
・サウンド機能/Webカメラ:DTS:X® Ultra、 Acer TrueHarmony™/フルHD Webカメラ(約200万画素)
・無線LAN:IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax準拠(Killer™ Wi-Fi 6E AX1675i)
・寸法・質量:約20.90/19.52(H)×324.12(W)×255.35(D)mm、約1.9kg
・保証:メーカー保証1年
・Xbox Game Pass Ultimate 1ヶ月利用権同梱
AIノートPC
Acer ノートパソコン Swift Go 14 Core Ultra 5 16GBメモリー 512GB SSD 14インチ 2.8K 16:10 (2880 x 1800) Windows 11 1.32kg 8時間駆動 QHD Webカメラ 指紋認証 WiFi 6E 日本語キーボード Copilotキー搭載 SFG14-73-N56Y
・OS: Windows 11 Pro 64ビット
・プロセッサー:インテル® Core™ Ultra 5 プロセッサー 125H
・メモリー:16GB、LPDDR5X-8533MHz SDRAM、デュアルチャネル対応
・ストレージ:512GB SSD
・グラフィックス:インテル® Arc™ グラフィックス
・ディスプレイ:14インチ、2.8K(2880×1800)、16:10、IPS
・リフレッシュレート: 120Hz、sRGB 100%
・外部インターフェース:USB4®(Type-C)×2、USB 3.2(Type-A)×2、HDMI x 1、ヘッドフォン/スピーカージャック x 1
・サウンド機能:DTS:X® Ultra Acer TrueHarmony™ Acer PurifiedVoice™ Bluetooth LE Audio
・Webカメラ:QHD Webカメラ(約360万画素)
・無線LAN:IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax準拠(Wi-Fi 6E準拠)
・バッテリー駆動時間:最大約7.5時間
・指紋認証:搭載
・寸法・質量:約14.90(H)×312.90(W)×217.90(D)mm、約1.32kg
・保証:メーカー保証期間1年