朝のミーティング。
部下の田中くんがこう言いました。
「そのやり方、前も同じ結果でしたよね」
たった一言。
でもその瞬間、頭の中でカッとなって、
その後の会議の内容がほとんど頭に入ってこなかった。
昼飯を食べながらも思い出す。
帰りの車の中でも思い出す。
風呂に入りながらも思い出す。
翌朝、田中くんは普通に「おはようございます」と言ってくる。
本人は何も覚えていない。
なのに私だけが、まだ昨日の一言を引きずっている。
「なんで自分だけこんなに引きずるんだろう」
そのとき初めて気づきました。
問題は田中くんではなかった。
問題は私の中にあった。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 部下の一言が一日中頭から離れない
- 上司に呼ばれると理由もなく緊張する
- 会議では本音を言えない
- 頼まれると断れない
- 家に帰ると何も話したくなくなる
- 「もっと頑張らないと」といつも思っている
- 仕事の本を何十冊読んでも、同じ悩みが繰り返される
ひとつでも当てはまるなら、
仕事のやり方ではなく、「心のクセ」が原因かもしれません。
毎年同じことで悩んでいませんか?
40代になると、不思議なことが起きます。
部下が変わっても、上司が変わっても、会社が変わっても、
なぜか「同じタイプの悩み」が繰り返される。
「またこのパターンか」と気づく瞬間はあるのに、
どうしたらいいかわからない。
仕事のやり方は変えた。
コミュニケーション本も何冊も読んだ。
マネジメント研修も受けた。
それでも同じことが起きる。
実はこれ、仕事のスキルの問題ではありません。
子どもの頃に無意識に作られた、
「こうしないと嫌われる」
「こうしないと認められない」
という思い込みが、今も動いている。
これを正面から教えてくれる本に、ようやく出会いました。
『「本当の自分」がわかる心理学~すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある』です。
この本が他の心理学本と全然違う理由
心理学の本というと、
「自己肯定感を高めよう」とか
「マインドフルネスをやろう」とか
そういう話が多い。
でもこの本は違います。
「なぜあなたは今その反応をしたのか」
を、子どもの頃まで遡って説明してくれる。
難しい専門用語はほとんどない。
「あなたにも、こういう経験はありませんか?」
という問いかけが続いて、
読んでいる間中「これ私のことだ」と思い続ける。
40代の管理職が読むと、特に刺さります。
なぜかというと、
私たちは「仕事のスキル本」をもう十分すぎるほど読んでいるから。
次に必要なのは、
「なぜ私は毎回同じ失敗をするのか」を知ること。
その答えがここにある。

第1章|「仕事の悩み」は仕事が原因ではない
部下の一言が一日中頭から離れない理由
先ほどの田中くんの話に戻ります。
「そのやり方、前も同じ結果でしたよね」
客観的に見れば、これはただのフィードバックです。
むしろ言ってくれたことに感謝してもいいくらい。
でも私はそう受け取れなかった。
「バカにされた」
「信用されていない」
「私の判断を否定された」
そう感じた。
でも同じ部屋にいた別の先輩マネージャーは、
田中くんの言葉を聞いて「そうだな、確かに」と普通に返していた。
同じ言葉なのに、受け取り方がまったく違う。
この差は何か。
仕事の経験の差ではありません。
能力の差でもありません。
「その言葉がどこに触れるか」の差です。
田中くんの言葉は、私の中の何かに触れた。
それが何かを知らないと、一生同じことが繰り返されます。
「引きずる人」と「引きずらない人」の本当の差
職場を見渡すと、
同じ出来事に対して、全然違う反応をする人がいます。
Aさんは、部下から反論されても「なるほど、そういう見方もあるか」と笑顔で返す。
Bさんは、部下から反論されると、顔が赤くなって、
その後何時間も機嫌が悪い。
この差は「人間としての器」の差ではありません。
「過去に作られた心のクセ」の差です。
Bさんの中には、
「反論される=自分が否定された」
という方程式が無意識に刻まれている。
どこでそれが刻まれたのか。
たいてい、子どもの頃です。
第2章|心の中には「昔の自分」が住んでいる
子どもの頃、私たちは必死でした。
親に認めてもらいたい。
嫌われたくない。
怒られたくない。
そのために覚えた「生き方」がある。
「頑張れば認めてもらえる」
「意見を言わなければ場が収まる」
「完璧にやれば怒られない」
これは子どもの頃の知恵です。
当時は正しかった。
でも40代になっても、その知恵がそのまま動いている。
部下が反論してきたとき、
脳の中では「子どもの頃に怒られた場面」と
同じスイッチが入っている。
今は上司でも、その瞬間だけ、心が子どもに戻っている。
だから必要以上に反応する。
だから引きずる。
だから家に帰っても切り替えられない。
これを知っているだけで、「またこのパターンだ」と気づける。
気づけると、少しだけ冷静になれる。
あなたはどのタイプ?(セルフチェック)
次の3つのうち、自分に当てはまるものはありますか?
【タイプA:認められたい】
- 残業が多い
- 頼まれると断れない
- 全部自分で抱え込む
- 「もっとやらないと」といつも思っている
【タイプB:嫌われたくない】
- 本音を言えない会議が多い
- 部下にはっきり注意できない
- 評価面談でいつも曖昧になる
- 場の空気を壊したくなくて黙る
【タイプC:完璧にしたい】
- 部下に任せられない
- 自分でやったほうが早いと思う
- ミスをするくらいなら引き受けない
- 資料の細かい部分が気になって時間がかかる
どれかひとつに当てはまった方、
そのクセはおそらく、今日始まったものではありません。
ずっと前から、あなたの中にある。
第3章|部下にイライラする本当の理由
「なんでこんなことが伝わらないんだ」
管理職なら一度は思ったことがあるはずです。
でもよく考えると、
同じことを同じように言っても、
伝わる部下と伝わらない部下がいる。
怒りたくなる部下と、そうでもない部下がいる。
これはなぜか。
「伝わらないから怒る」のではありません。
「その部下の何かが、自分の中の何かに触れている」から怒る。
例えば、
「言われたことをすぐやらない部下」にイライラする人は、
子どもの頃に「すぐやらないと怒られた」経験がある可能性が高い。
例えば、
「やる気がなさそうに見える部下」にイライラする人は、
「頑張ることが当たり前」という価値観を強く持っている。
それはどこから来たのか。
親?先生?最初の会社の上司?
必ずどこかにある。
本書では、こう言います。
「人は自分の傷に触れるものに反応する」
これを知ってから、
私はイライラしたときに少し立ち止まれるようになりました。
「この怒りは、田中くんへの怒りじゃないかもしれない」と。
第4章|上司が怖い理由
上司に呼ばれると、なぜか緊張する。
怒られていないのに、
廊下ですれ違っただけで、
「何かしたっけ?」と頭の中で確認してしまう。
これ、思い当たる方はいませんか?
これは上司が怖いのではありません。
上司の「雰囲気」が、昔の誰かと重なっているだけです。
怒りっぽい父親。
いつも評価してくる母親。
気分で態度が変わる先生。
その人の「圧」に似たものを、今の上司から感じている。
だから脳が警戒する。
これも、子どもの頃に作られたパターンです。
問題は今の上司にあるのではなく、
昔のパターンをまだ持ち続けていること。
「あ、またこのパターンだ」と気づくだけで、
反応のしかたが少し変わります。
第5章|家庭でも同じことが起きている
仕事の話だけかと思ったら、違います。
家に帰ると無口になる。
妻の一言にイライラする。
子どもに対して、なぜか厳しくなる。
これも同じ構造です。
妻が「なんでそれやってくれないの」と言ったとき、
なぜか「責められた」と感じて黙り込む。
それは妻が責めているのではなく、
「責められた感覚」が子どもの頃の何かに触れているから。
このことに気づいた後、私の家での態度が少し変わりました。
妻に何か言われたとき、
「あ、これは昔のパターンだ」と思える瞬間が出てきた。
それだけで、言い返す前に少し止まれる。
止まれると、関係が少し変わる。
第6章|明日からできる5つのこと
本書では、気づいてから行動するまでの流れが丁寧に書かれています。
私が特に役に立ったのは次の5つです。
① イライラしたら「相手ではなく自分を見る」
「なぜ自分はこんなに反応したのか」を自分に聞く。
相手の話をするのをやめて、
「私の中で何が触れたのか」を探す。
最初は難しい。でも慣れると早くなります。
② 反応した気持ちを紙に書く
「腹が立った」だけではなく、
「どんな場面で」「何の言葉で」「どう感じたか」を書く。
書くことで、パターンが見えてきます。
③ 「本当に今の話?」と自分に聞く
感情が強いとき、たいてい「今の話」ではありません。
「この怒り、今日の出来事だけじゃないかも」と問いかける。
④ 子どもの頃の場面を思い出す
「同じような感情を、昔にも感じたことがあるか」を探す。
すぐには出てこないこともある。
でも意識するだけで変わります。
⑤ 自分への言葉を書き換える
「もっと頑張らないと」を「今日もやった」に変える。
「なんでできないんだ」を「何があれば次はできるか」に変える。
言葉を変えると、少しずつ内側が変わります。
第7章|変わる人と変わらない人の差
この本を読んで変わる人には、共通点があります。
変わる人の共通点
- 「相手のせい」より「自分の中に原因があるかも」と考えられる人
- 読んだ日の夜に、1つだけ試してみる人
- 完璧にやろうとせず、少しずつでいいと思える人
変わらない人の共通点
- 「それは相手が悪い」で思考が止まる人
- 「いつか役に立つかも」と読んで終わりにする人
- 「全部理解してからやろう」とする人
どちらが正しいとかではありません。
ただ、私は後者だった時期が長かった。
「知識を集めること」と「行動すること」は別物だと、
40代になってようやくわかってきました。
この本を読んで、私が変わったこと
部下が反論した。
以前の私なら、一日中引きずっていました。
でも今は、こう思えます。
「なぜ私はあの一言にそんなに反応したのか」
部下は変わっていません。
上司も変わっていません。
職場も変わっていません。
変わったのは、私の「見方」だけです。
それだけで、
会議の空気が変わった。
部下との関係が変わった。
家に帰ったときの気持ちが変わった。
この本は「すごい人になれる本」ではありません。
何十年も無意識に繰り返してきた「心のクセ」に気づき、
毎日を少し軽くするための一冊です。
「なんで自分は毎回同じことで悩むんだろう」
そう思ったことがある方に、読んでほしい本です。
書籍情報

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
「これ、自分のことだ」と思った場面があれば、
本を閉じる前に、その場面を一言だけメモしてみてください。
それだけで、読み終わった後が変わります。

